以前読んで、心に残っている本についての私的な感想文です。極力ネタバレをすることのないようにしますので、読んだことがある方とは共感できれば、ない方は参考になるようでしたら幸いです。
ノンフィクション大賞って調べてみるとけっこうあります。
- 大宅壮一ノンフィクション賞
- 集英社 開高健ノンフィクション賞
- 講談社ノンフィクション賞 : 講談社
- 小学館 ノンフィクション大賞
他にもいくつかあるようですが、今回ピックアップしたいのは、新たに新設された、YAHOO!ニュースと本屋大賞がタッグを組んで新設された、「ノンフィクション本大賞」です。
大賞の発表は11月で、ノミネート作品は下記10作品となります。
極夜行/角幡 唯介
告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実/旗手 啓介
ノモレ/国分 拓
Black Box/伊藤 詩織
モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語/内田 洋子
ユニクロ潜入一年/横田 増生
43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層/石井 光太
一発屋芸人列伝/山田ルイ53世
感想
一発芸人にもその後の人生はある。そんな当たり前のことは読まなくてもわかることだけど、苦悩や葛藤、そして切り開いていくための現在の努力については読まなければわからなかったことがたくさんあった。
正直今もなんだか冴えない人もいれば、今は今で別の輝きを取り戻している人もいる。時にユーモラスにお決まりのつっこみをいれつつも、その視線の先には他人事ではない当事者感が伝わってくる。そしてもちろん本人たちのお話も。
私的には、波田陽区さんの話に対してのつっこみっぷりが一番のっているようで面白かった。
変わらなければ生き残れないのはなにも芸人に限った話ではない。社会において若いというだけで重宝され、価値を見出してくれたりすることもあるだろうが、人生が後半になっていった時に、どう自分の存在意義を見出していくか、この本を読み、自戒を込めて考えて、前を向いていかなければと思った次第。
Contents(収録芸人)
テツ & トモ
ジョイマン
ムーディ勝山と天津・木村
ハロー・ケイスケ
ノモレ/国分 拓
あらすじ
かつてアマゾンで100年前に生き別れた部族がいる。そう語り伝えられてきたその仲間の子孫が、突如出現した文明社会と未接触の先住民イゾラドなのか。
NHKスペシャルから生まれたアマゾンで繰り広げられる時を超えたノンフィクション。
感想
「ノモレ」とは現地の言葉で仲間を意味する。突如出現したのが100年前に別れたその仲間の子孫かもしれないという、そんなロマンを感じる物語が臨場感たっぷりに描かれている。
自分の常識とは別のものさしがあり、言葉も通じず、その行動の意味するところもわからない。それでも、自分たちが文明人だと思っているだけで、向こうには向こうの文化があれば、考えもあるはず。しかし、先住民が感染症に対する抗体を持っていないため、接触は国際法で許されないため、そこには埋められない溝もある。
ドラマティックな結末が用意されているわけでもないのが、そこが逆にリアルさを感じる。
さて、どの作品が大賞を受賞されるのでしょうか。是非読んで予想してみてはいかがでしょうか。発表が楽しみです。