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【○○と××な本】3冊目: コーヒーと恋愛/獅子 文六

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例えば、「赤と黒」、「戦争と平和」そして「罪と罰」。

このように割り切りの良さと切れ味のするどさで何々と何々というタイトルにどこか惹かれます。単に対だったり、親和性のある距離感が近いものも、想像を裏切るような距離感が遠いものの、どれも概して面白いものが多い気がします。良くも悪くもそんなタイトルの作品を紹介したいと思います。

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今回ご紹介するのは、昭和の隠れた名作として2013年にちくま文庫から復刊された作品です。

 

コーヒーと恋愛/獅子 文六

 

サニーデイ・サービスファンの方でしたら馴染み深いかもしれないですが、名作『東京』に収録された「コーヒーと恋愛」は、この作品の影響を受けてつくられたということで、解説を曽我部 恵一さん、カバーデザインを小田島 等さんが手がけています。

もともとは1963年に『可否道』というタイトルで単行本として発売され、1969年に『コーヒーと恋愛(可否道)』と改題されたとのこと。また、1963年に森光子さんや加賀まりこさんの出演で映画化もされており、私的には恥ずかしながら、このちくま文庫版が出るまで、まったく知りませんでした。

この作品、いってみればコメディ的要素が強く、時代背景はテレビが誕生して十年ほどたった東京が舞台なのですが、軽妙な語り口で、読んでいてまったく古さを感じません。

TVタレントの主人公モエ子(43歳)と8歳年下の新劇舞台装置家の旦那。この二人の結婚のきっかけ、よく胃袋をつかまれるというのは聞きますが、なんとモエ子の淹れるコーヒーのうまさ。モエ子はコーヒーをおいしく淹れる名人なのです。

“うまくコーヒーをいれるには、もうういいと思った分量に、さらに一サジ加えよという、その道の格言があるほどである。”

と文中の表現であるが、モエ子はこの格言に従う必要がないぐらい感覚でおいしくいれられるのです。

そして、この本の中で私的に特に面白いと思うのが、モエ子が参加している「日本可否会」というコーヒー通の集まりのやりとり。いろいろ薀蓄をたれたり、世話をやいたり、干渉したり、その様子がいちいちおかしいです。

旦那が別の女性に走り、ドタバタするのですが、それは読んでみていただければと思います。

 

そしてタイトルの「コーヒー」と「恋愛」、なんとも現代的でロマンチックなタイトルだと思います。この小説のタイトルとしては、「コーヒー」が直接、縁を結んだわけなので、「恋愛」と並列に結びついているんだと思いますが、それ以上に、コーヒーと恋愛の言葉としての相性の良さというものを感じます。まさにタイトルとして抜群に魅力的で、“コーヒーと恋愛が共にあればいい”と歌いたくなるのもわかります。

そのセンスに脱帽です。 

 

気になった方は、ぜひ。  

 

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