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【読書の日記】41日目: 角幡 唯介『極夜行』読了

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「極夜行」 角幡 唯介

 
「極夜行」読了。

ノンフィクションにはある事物を丹念に取材を重ねて掘り下げていくものと、自分そのものの赤裸々な体験を綴ったものの2種類あると思いますが、これは後者のまさに命がけの冒険ノンフィクション。

地理的な未開の地はほぼなくなった現代において、著者が目指したのはテクノロジーにたよらない脱システムで、太陽がのぼらない北極の極夜の世界という現人間界のシステムの外側に飛び出すということ。そのテクノロジーに頼らないということは、つまり自然の力を利用するということでもあり、アナログに方位をさぐる上で、指標となるのがまさに北極星という絶対的な存在。そして暗闇の中でぼんやりではあるが、唯一、希望の光をもたらしてくれる月の明かり。そんな一歩間違えただけで生死にかかわる状態においては星や月、太陽に対する信仰にも似たものが実体験として迫ってくる。

同行者は犬のみという孤独な単独行は計画通りに進まず、食料不足と戦い、氷点下数十度という極限の様子は読むだけで息苦しいものであり、時に醜い人間のエゴのようなものが垣間見られる。それも含めてまさに生死をかけたものすごい冒険だったと思う。

救われるのは、著者が生きて執筆いるというある種のネタバレのため、最後は助かるのだろうということがわかっていることであるが、これがもし、リアルタイムの出来事として読んでいたなら、本当にどうなってしまうのだろうというほど、ヤバい状態。

光のない世界で人間は何を思い、極夜の果てに太陽を見たとき何を感じたのか。

読んでみて体験してみたいなどとは、正直きつすぎて全然思いませんでしたが、このような臨場感あふれる作品は疑似体験しているかのようで、これが読書の醍醐味だと思わせる一冊。

 
 

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