【私的オススメ 読書感想文】三四郎 / 夏目 漱石

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 以前読んで、心に残っている本についての私的な感想文です。読んだことがある方とは共感できれば、ない方は参考になるようでしたら幸いです。

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三四郎/夏目 漱石

今年の大河ドラマいだてん〜東京オリムピック噺〜』。その中で、一風変わった役どころを演じているのが、勝地涼さん演じる金栗四三の幼馴染役、美川の存在です。四三といっしょに上京し、共に東京高等師範学校に入学しますが、その彼の特徴といえば、夏目漱石にかぶれているところです。そしてドラマにはそんな漱石ネタがうまく含まれていました。まずは、第2話で肩車してくれたのが漱石だったというオチと、第3話の上京の車中シーンです。

 


三四郎 (新潮文庫)

 

本には読まれるべきタイミングというものがあると思いますが、いつか読もうと思って『三四郎』を『それから』、『門』といっしょに買ったのは約20年ぐらい前です。それから、何度か読もうと思ったことはありますが、恥ずかしながら最近まで読まずにきてしまいました。ちなみにそれは古本屋で買った角川文庫のわたせせいぞう版でした。

冒頭でまず、びっくりさせられます。熊本から上京する列車の中で出会った女性に、主人公・三四郎が、今でいう逆ナンされるところから始まるからです。そして、なりゆきで一緒に泊まることになった女性に手も出さず、しまいには別れ際、「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と言って、にやりと笑われてしまうのです。その現代的な感覚にまず、驚きました。

ちなみに『いだてん』の上京シーンで美川は車中でこの『三四郎』を読み、そこで見かけた女性に興奮していましたが、まさしく彼らも三四郎と同じ熊本からの上京で、この小説の冒頭シーンをなぞらえるようにオマージュとして描かれています。「三四郎」を読んでいたわけですから、見かけた女性にそのゆきずりの女性を思い描いたでしょう。その後、橋本愛演じる遊女の小梅に熱をあげ、門限を破ったりするという、三四郎の性格との対比がとても面白いです。

この小説でものすごく共感したのが、三四郎の焦燥感です。いくら講義を受けても物足りず、専攻科目以外の講義を受け、図書館で、毎日八、九冊ずつ必ず借りるようにするなど、つねに知識欲にかられています。それは何者かになろうするあがきだと思うのですが、同じような気持ちを自分も学生の頃に感じていました。もちろん、ここまで勤勉ではありませんでしたので、比べるべくもありませんが。

とにかく、やきもきする恋愛事情といい、親ばなれできないところや社会や勉学に対する鬱屈など、モラトリアムな感じが、おそらく若い頃読んでも面白さに気づかなかったと思います。

まさに読むタイミングって大事だなと思わせてくれた一冊でした。

 

気になった方は、ぜひ。

 

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