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【読書の日記】43日目: 高橋 克彦『写楽殺人事件』読了

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写楽殺人事件』読了

東洲斎 写楽。役者絵などを描いた江戸時代の浮世絵師としてその名前と作品を知らない人はいないと思いますが、活動期間は実はたったの約10ヶ月。にもかかわらず、その間に145点余もの作品を版行したのち、忽然と姿を消した謎の絵師として、その正体はいまだにはっきりしていません。

そのため、いろいろな作家がミステリーの題材としてとりあげていますが、この高橋克彦さんの『写楽殺人事件』もその中の一冊で、第29回(1983年) 江戸川乱歩賞を受賞した傑作ミステリー小説です。

(ミステリーですので、あらすじは軽くふれますが、ネタバレは注意して書きます)

 


写楽殺人事件 (講談社文庫)

 

高橋克彦さんといえば、大河ドラマにもなった『炎立つ』や『火怨』などの歴史小説やオカルトやUFOを題材とした伝奇小説やホラーなど幅広い作風で知られています(『竜の柩』は私的オールタイム・ベスト上位の大好きな作品です)が、もともとは大学卒業後、浮世絵の研究者となり、短大の専任講師をつとめていました。その経験をもとに描いたのがデビュー作となる本作です。

主人公は、写楽を専攻する大学助手の津田。写楽を専攻するものにとって、写楽とは何者なのかという謎に誰しもが気になるところ。ひょんなことから古本市で手に入れた画集の中の一枚の作品に目を奪われる。そこには“東洲斎写楽改◯◯◯◯(伏せておきます)”と作品上に記載されていました。

そのことをヒントに独自の仮説に基づいて、写楽の正体にせまっていきます。

ちなみにこの作品の中で、写楽別人説と目されている人物とその説を唱えた人、発表年度が書かれていますが、

  1.円山応挙    田口泖三郎    昭和32
  2.葛飾北斎    最上三郎その他  昭和37
  3.谷文晁     池上浩山人    昭和37
  4.飯塚桃葉社中  中村正義     昭和41
  5.鳥居清政    君川也寸志    昭和42
  6.歌川豊国    石沢英太郎    昭和42
  7.写楽工房説   瀬木慎一     昭和42
  8.酒井抱一    向井信夫     昭和43
  9.栄松斎長喜   福富太郎     昭和44
10.蔦屋重三郎   榎本雄斎     昭和44
11.根岸優婆塞   中村正義     昭和44
12.谷素外     酒井藤吉     昭和44
13.山東京伝    谷峰蔵      昭和56

これらに対しては、考証していきながら、やんわりと否定していきます。

ちなみに、研究されてきた中で、現在一般的には、阿波徳島藩主蜂須賀家お抱えの能役者斎藤十郎兵衛というのが、最も有力な説とされていますが、これすら本当のところはわかりません。

 

津田のまわりでは浮世絵の著名な研究者が自殺か他殺かよくわからない状態で亡くなったりと事件が連続して起こっていくのですが、この写楽の正体を探ることとその事件がいろいろ交錯していきます。

写楽(日本美術)と江戸時代の歴史とミステリーの、一作で3つのことを楽しめる作品となっています。

 

浮世絵三部作

 

気になった方は、ぜひ。

 

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