ブック、ロックときどきカレー

読書とロックとカレーをこよなく愛する「ブックロックカリー」です。カレーは毎日食べても飽きないくらい。日々の読書とオススメの音楽などをお届けします。読者登録もお気軽にお願いします。

【私的オススメ 歴史小説】信長の原理 /  垣根 涼介

f:id:bookrockcurry:20190416105250p:plain 

 

スポンサーリンク

 

『信長の原理』

歴史小説は、史実に即して描かれている場合、ある意味ネタバレというのは避けられません。その中でも信長というあまりにも代表的な人物がメインで描かれる場合、桶狭間の戦いから本能寺の変まで、ほぼ決まりきったストーリーが展開されるわけですが、それでも数多く描かれ続けている信長の物語として、どこで面白さを表現するかというのが、その作家の見せ所だと思います。

そして、この垣根涼介さんの着眼点の面白さに、見事に魅了されました。

(あらすじは軽くふれますが、ネタバレは注意して書きます)

 

 

「何故おれは、裏切られ続けて死にゆくのかーー。」

これは帯の一文ですが、この一文に見られるようにこの小説の面白さのひとつとして、信長をはじめ、家臣それぞれが一人称として語られていくので、その時何を思って、どうしてその行動をおこしていくのか、という心理的な部分が、とてもわかりやすく描かれます。

例えば、何に対していらだち、何に対して危機感を感じているのか、また、作為の意図は何だったか等、ただの癇癪持ちの暴君のように思われている信長の内面的な部分が読者には手にとるようにわかります(家臣たちにはその気持ちが伝わらなかったりするところがまた面白いのですが)。

そして、この小説の肝ともいえるのが「パレートの法則(80/20 rule)」です。もちろん、信長はパレートの法則という言い方をするわけではありませんが、幼年の頃から蟻を観察し、ある真理にたどりつきます。それが、蟻全体の2割はまじめに働くが、6割はなんとなくそれに従い働きがにぶく、2割はサボるという2:6:2(1:3:1)の法則です。

そして、それは実際の戦でもその法則があてはまってしまい、いくら優秀な人材で隊をそろえても、必ずその法則のとおりの結果となってしまうというジレンマに悩まされ続けます。そして、その法則にしたがえば、家臣のうち、1人に裏切り者が出ると信長は恐れていくわけですが・・・。

 そして、冒頭の部分に戻りますが、ネタバレとも言える結末は誰もが知っていますが、それでもワクワクしながら先を読みたくなり、最後はハッと思わせてくれて、一気に読ませてしまうこの作品、さすがとしか言いようがありません。

垣根涼介さんといえば、『ワイルドソウル』や『ヒートアイランド』シリーズなど手に汗にぎるハードボイルドなアクション小説が代表作ですが、近年はもっぱら歴史小説に活動範囲を広げています。歴史小説に現代的なエッセンスを取り入れ、歴史小説にあらたな視点をもたらしています。この作品の姉妹作品として『光秀の定理』という小説も書かれていますが、こちらは未読。手元にはあるので、早速読まねば。

 

 

 

気になった方は、ぜひ。

 

スポンサーリンク