ブック、ロックときどきカレー

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【僕は乱読派。】タイトルから想像する楽しみ。

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本を選ぶとき、タイトルから内容を類推ことはよくあります。そのタイトルになぜか心ひかれた場合、手を伸ばさないわけにはいきません。

『未必のマクベス』というタイトル。このタイトルで想像できるのは「未必の故意」と当然シェイクスピアの「マクベス」です。

未必の故意とはミステリーではおなじみですが、そうなることを期待しないわけでもないが、そうなってもかまわないという故意のこと。例えば血圧の高い人に塩分高めのものを食べさせ続けるとか、毒の入った食べ物や飲み物を公園のようなところに置いておくなどです。死ぬかもしれないし、死なないかもしれない可能性もあるので、未必の故意とされるというもの(だいぶ端折っている意訳ですので、正確ではないかもしれません)。

一方のマクベスは、ショイクスピアの四大悲劇の一つとされるもので、将軍マクベスが森で出会った3人の魔女に王になるという予言をされ、野心家の妻と共謀し、主君である王を暗殺し、王位に就くものの、良心の呵責に苦しみ錯乱し、貴族や王子の復讐に倒れるというもの。

早瀬耕さんという著者の作品は読んだことがなく、もちろん読み始めるまではミステリーだろうか、歴史小説だろうか?ぐらいの想像しか働かず、その組み合わせの意図するところはまったく想像がつきません。

そして、読みはじめるとわりと冒頭で、その意図するところがみえてくる。IT系の会社に勤める主人公が、アジアを中心に飛び回り、会社の上層部の思惑で、左遷的な意味合いを持つ子会社の社長の人事を受ける。つまり、社長の座=王で、マクベス(社長)になりたいわけではないが、なってもかまわないというようなニュアンス。暗示的にマカオの娼婦に「王になって旅に出なければならない」と予言されたりするあたり、マクベスをなぞらえている。もちろんストーリーの中でもマクベスの説明は随所にされるので、その辺も意図的な構成ではあります。

この主人公の社名がJプロトコルで、主人公は交通IC系などの営業をかつてしていました。そのシステムを世界各国に売り歩いていたようですが、社員同士の会話で面白いと思ったのが、新入社員の研修で、二人の靴屋の営業が、未開の国にセールスに出掛けたときの話。

片方の営業は『たいへんです。この国には仕事がありません。誰も靴を履いていないのですから』って報告して、もう片方の営業は『たいへんです。この国は、ビッグ・マーケットです。まだ誰も靴を履いていないのですから』

 営業職ではよく知られた話なのかもしれませんが、ものすごくわかりやすい例えだと思い、膝を打ちました。

ハードボイルドタッチであり犯罪の匂いを感じつつ、おそらく旅なれているだろう著者の薀蓄のようなものが文章の端々に感じられ、読む人を選ぶような独特の文体ではあるものの、これにはまると本の分厚さと過去と未来を行き来する先の読めないストーリー展開に、その先を求めてしまいます。

 

 

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