【私的オススメ ミステリー小説】ラットマン / 道尾 秀介

f:id:bookrockcurry:20190416104725p:plain

 

 

道尾秀介さんといえば、大のロック好きとしても知られています。

 

特にメタリカが好きで、ギターはほとんどの曲を弾けたほどの腕前だとか。

 

そんなロック好きの道尾さんがロック(バンド)を題材に取り入れたミステリー小説がこの「ラットマン」です。

 

ラットマン / 道尾 秀介

 

 

あらすじ

主人公は、アマチュアロックバンドのギタリスト。

 

高校時代に結成し、結成14年となる。

 

彼は家庭で不幸な事件を経験していて、それが今もトラウマのようになっている。

 

恋人はバンドの元ドラマーで、その恋人は彼らが通うスタジオで働いている。

 

そして現在は彼女の妹がそのバンドのドラムをつとめている。

 

そんな彼はその妹を好きになってしまい、関係を持ってしまう。

 

しかし恋人には妊娠していると告げられる。それは本当に彼の子なのか?

 

そんなある日、スタジオの練習中に事件が起こる。

 

 

 

感想

彼らはコピーとオリジナルの半々のアマチュアバンドです。

 

そのコピーしているバンドはエアロスミス

 

そして、作品中取り上げる曲は1975年に発売された3rdアルバム『Toys in the Attic(邦題:闇夜のヘヴィ・ロック)』から「Toys in the Attic」と「Walk This Way」。

 

このアルバムにはさらに代表曲のひとつ「Sweet Emotion」や初期エアロスミス屈指の名バラード「You See Me Crying」を含み、エアロスミスで避けては通れない名盤中の名盤です。

 

「Toys in the Attic」をもじってミステリーの小道具として演出したり、練習スタジオの様子を詳細に描いたりとロック好きにはたまらない作品です。

 

そんな中で、もっとも印象に残った部分は、彼がコピーバンドという物真似バンドをつづけている虚しさを、スタジオのオーナーにこぼしたときに言われた言葉です。

 

いわく、

「人生は芸術作品の模倣である」

 

そして、その真似をすることにどんな意味があるのかという問いに、

 

「真似は個性を身につけるための手段だから」

と答える。

 

さらにその個性とは、

「個性ってのはさ、何かを一生懸命に真似しないと、手に入れることなんて絶対にできないんだよ。はじめから独自のものを目指そうたって、そんなの上手くいくはずがない。音楽だって、絵だって、人生だってそうさ」

 

その言葉を読み、きっと道尾さんもそうやって独自のスタイルを身につけられたんだろうなと、重みが感じられました。

 

ストーリーは、多少陰惨な部分があり、いわゆる「イヤミス」という部類に入りますが、大どんでんがえしにつぐ大どんでんがえしで、人の思い込みをうまくついて、だまされること必至です。

 

ちなみに「ラットマン」というタイトルですが、決して、ヒーロー物が出てくるようなものではありません。(最初、読む前は何かそういうふうなものかなと思っていました)

 

認知心理学で、あるふうに見ればネズミに見えるけど、別の見方をするとおじさんに見えるというだまし絵のようなもので、一度そう思い込むとそのように見てしまうというところを、ストーリーの重要な部分でうまく生かしています。

 

 

スポンサーリンク