うちの子にいつか読ませたい 私的名著12選

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自分にとっての名著とは、意識を変えてくれる原動力となるものだったり、将来後悔しないように気づきを与えてくれるものと考えています。

例えば、よく目にするのが「学生の時に読んでおけばよかった」などという後悔の言葉。

本当によくわかりますし、苦手意識のあるものも何らかの方法で改善しなければそのまま苦手なまま過ごしてしまいます。

もちろんそれを受け入れるかどうかは本人次第。

ないよりはあった方がいいというレベルの話ではありますが、そんな気づきや苦手意識などを本で多少でも克服できるきっかけになればと個人的に思い、自分の子に勧める気持ちで私的名著をご紹介したいと思います。

(このブログは以前書いたものを編集してまとめたものです)

 

  

1冊目:君たちはどう生きるか / 吉野源三郎

今更自分がオススメするのも気が引けますが、大人になってから読んで、学生の時に読んでおけば良かった本、私的第1位です。

とは言っても自分はマガジンハウス版は読んでいないので、やはり岩波文庫版をとりあえずオススメしたいと思います。

もちろん子供が興味を持ちやすい、マンガ版などでも全然いいと思いますが、岩波文庫の教養を感じる部分が個人的に好きです。

この本には、「ものの見方」や「社会の構造や関係性」などを考えるヒントがいろいろ書かれていますが、自分が子供に読んでもらいたい一番のポイントは、なんといっても罪悪感の部分です。

必ずいつか訪れる(自分にとっては何度も訪れた)罪悪感にさいなまれた時に、自分をごまかさず、正しく行動できる思考を身につけてほしいと思うからです。

自分はこの本を読んだとき、過去にごまかして後々まで後悔したことを思い出しました。

また、うちの子供はまだ小さいですが、すでに、後ろめたいことがあると「お母さんには内緒にしておいてね」というようなことを口にすることがあります。

今はまだしょうがないと思い、「そういうことは正直に話そうね」と、やさしく諭したりしますが、こういうことは親や先生に説教として言われても、はっきり言って耳をすり抜けてしまいますよね(自分はそうでした)。

この本はそういった意味で、すごく自分ごととして身につまされます。

 

2冊目:生物と無生物のあいだ / 福岡伸一

第2冊目は、2008年に第1回新書大賞を受賞して大ベストセラーとなったこの1冊です。

自分は学生時代、理数系や社会の暗記などがとにかく苦手でした。

でも、こういうのを学生時代に読んでおけば、もっと勉強も楽しかったのかもと思わせてくれます。

この本の魅力はまず、なんといっても福岡さんの文体が美しいということです。

福岡さんが研究者としてNYでどのように活動していたかから始まり、過去のDNAやウイルスの発見など歴史的な研究成果を辿っていき、ご自身の研究テーマにまで、各章ごとに一連のストーリーとして、わかりやすく綴られています。

はっきりいって教科書で読んだいたら個人的にはまったく何をいっているのかわからないような話の数々ですが、この本で読むとなんだかちょっと理解できた気になり、そして生物学に興味もわきます。

小さな頃から虫や植物を愛で、その興味を持ち続けた著者にとって生物学だっただけで、自分の子にとって興味のあるものを伸ばしていくきっかけに、この本はお手本になるのでないでしょうか。

 

3冊目:ライフ・シフト(LIFE SHIFT)/リンダ・グラットン

第3冊目は、2016年に発売されベストセラーとなった、固定観念をくつがえしてくれるこの1冊です。

寿命100年時代に突入し、働き方も生き方も何もかも見直されていく時代、それはうちの子たちが大きくなった頃により顕著になっていきます。

時代とともに淘汰されていく職業もあれば、AIに取って代わられていく職業もあり、一つの職業に固執しない、柔軟性のある生き方を見つけるために何をどう学んでいくべきなのか。

若いうちから先を見据えて人生を選択していくために、この本は大きな指針となってくれるはずです。

もちろん職業だけでなく、時間やお金、私生活など長い人生をよりよく過ごすために必要な考え方や3世代のケーススタディもあり、とても参考になります。

100歳になった自分にいまの自分が、「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と叱られないためにも。

なんだか生きづらい世の中になっていくなあと実感しながらも、子供達にはそれがあたり前だととらえて、たくましく生きていってほしいです。

 

4冊目:ローマ人の物語 / 塩野 七生

第4冊目は、単行本にして全15巻、文庫本にして全43巻という、そのタイトル通り、ローマ建国から崩壊までの長い長い歴史を順に追っていった超大作歴史書(的小説とも)です。

まず、この長い物語を読みきることができたら、もうそれだけで何か得られるような気がします。

この本は単純に読みやすく、わかりやすいですし、本当に面白いです

巻数に怯えることなく読み始めれば、あとは一気に読めると思います。

世界史の教科書で何ページさかれているかわかりませんが、そこに記載されているような部分の裏側には、こんなに壮大な歴史のディティールがあるというその事実に気づいてもらえると思います。

そんな背景を知ることによって、歴史って本当に興味深く覚えられるのではないでしょうか。

自分はなんの思い入れも持てず、まったく暗記することができなかったので、余計にそう思ってしまうのかもしれません。

紀元前からのお話なのに、まるで数百年前のことのように感じられたり、こういうことが現代の礎になっているんだなと思えたり、単純に戦記物としても面白いです。

いわゆる歴史好きになってもらいたいというわけではなく、この物語には西洋(アフリカも含め)の成り立ちを知り、現代の問題を読み解くヒントが基礎としてつまっていると思いますので、これを読んでグローバルな人間に育ってほしいと思います。

 

5冊目:まばたきとはばたき / 鈴木 康広

小さな頃の子供は見立ての天才だと思います。

ただ同じ色だというだけで何々といったり、ちょっと形が似ているだけで、それを別のものとして扱ってみたり。

分別がついてくるとそういう視点がどんどん失われがちになっていくと思います。

想像力は大人になっても持ち続けられたら、きっと楽しいだろうし、ものづくりにだって役にたつでしょう。

そういう発想がますます求められていく時代なのではと個人的に思います。

この本は、アーティストで、現在東京大学先端科学技術研究センター中邑研究室特任研究員、武蔵野美術大学造形学部空間デザイン演出学科 専任教員(Wikipediaより※誤りがある場合はご了承ください)の鈴木康広さんの作品写真やスケッチとそのコンセブト解説の書かれた作品集。

日常にひそんでいるあれとこれが似ているというような小さな気づきを飛躍させた作品の発想が秀逸です。

さらにそのスケッチが、すでに作品といえるほど。

りんごのけん玉や、まばたきの時計など、さらにファスナーの船は、そのアイデアとともに写真の美しさも必見。

大きくなっても創造力豊かな子に育ってほしいと思います。

 

6冊目:世界は「使われなかった人生」であふれている / 沢木 耕太郎

子供の頃は、人生は一度しかないと頭ではわかっていても、どこか他人事で、ダメなら別の生き方でやり直せるんじゃないかと漠然と思っていました。

でも人生も半ばをむかえると、仕事にしても恋愛にしても、別の生き方があったのでは、と後悔してみても人生って本当に一度きりなんだなという現実を痛感させられます。

この本は、タイトルから本当に素晴らしすぎるんですが、「暮らしの手帖」で連載されていたものを一冊にまとめたもので、映画にまつわるエッセイです。

続編、『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』もあります。

沢木耕太郎さんといえば、「深夜特急」をまず思い浮かべると思います。

ノンフィクション作家で名作が数多くあるのですが、私的には沢木さんの映画にまつわるエッセイが特に好きです。

この本では、三十編の映画をとりあげ、その中で、ありえたかもしれない人生や使われなかった人生を映画の中から考察していくというもので、いわゆる映画評とは異なる沢木さん独特な視点で書かれているのですが、観た映画も観ていない映画も本当に観たくなります。

刊行自体が少し古いので、映画も当然その当時のものが主ですが、この他にも、朝日新聞で連載していたものをまとめた『銀の森へ』『銀の街から』というものもあります。

こちらも同様に素晴らしいのでぜひ。

映画は、本と同様、一度しかない人生の中で、ありえるかもしれない別の人生を疑似体験できるものですし、いい映画をたくさん観るとそれだけで感受性も豊かになれると思います。

 

7冊目:横井軍平ゲーム館 / 横井軍平 牧野武文

子供にゲームの本を勧めるって、どう?という否定的な意見もあるかもしれません。

自分もじゃあゲームを積極的にやりなさいと進めるか、というとそんなことはなく、やりたければ適度にどうぞぐらいのスタンスです。

では、なぜこの本をうちの子に勧めたいのか。

それは、この本はいわゆるゲーム本ではなく、ゲームに限らず、発想するヒントがいっぱいつまっているからです。

横井軍平さんという方は、ゲーム好きの方には有名すぎるほど有名ですが、任天堂で数々のおもちゃやゲーム機を発明、プロデュースされた方です。

代表的なものでは、ある年代にはとても懐かしい「ゲーム&ウォッチ」や「ゲームボーイ」、さらには今では当たり前となっているファミコンの十字ボタンの特許もこの方のものです。

もちろんその他にも、ゲーム機以前の数々のおもちゃや、商業的には厳しかったようですが、3Dゲーム機の先駆けのひとつである「バーチャルボーイ」など、数々の制作秘話が時系列に並べられています。

その制作にかける考え方、哲学がいくつかあり、そのの一つに「枯れた技術の水平思考」というものがあります。

その代表的な作品が「ラブテスター」というおもちゃです。

このラブテスターというのは、実はただの電流計。

男女で手をつなぎ、愛情テストをするというもので、原理は嘘発見機のようなもの。

つまり、使い古された技術を、まったく異質な分野に投げ込んでみるという発想なのです。

横井さんはこう語っています。

〝先端技術で勝負するな、アイデアでしろ〟と。

小学校でのプログラムの必修化、これに対して賛成も反対も述べるつもりは全くありませんが、ひとつ言えるのは、どう作るかを覚えるよりも、何を作りたいかという動機の方を伸ばすことの方が圧倒的に重要だと個人的には思います。

自分たちの年代にとっては懐かしいと感じるものが、今の子供たちにはある意味、新鮮にうつるかどうかは読ませてみてからのお楽しみ。

 

8冊目:写真がもっと好きになる。/ 菅原 一剛

携帯が普及した今となっては、ほとんどの方の定番趣味に「読書」「音楽鑑賞」にプラス「写真撮影」というのが加わっているのではないでしょうか。

私的にもその口で、どのようにうまく撮れるのか、またはカメラの基礎知識についてなど、参考書的なものは何冊か読んでみました。

この本はそんな中で、テクニカルな部分よりももう少し写真を撮るマインドのようなところをくすぐる、読めば写真が撮りたくなる、そんな一冊です。

著者は写真家の菅原一剛さんで、もともと、この本の元となっているのが、webサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』の連載が一冊になったものですので、本の構成もブログのように、一話4ページほどで詩的なエッセイのように、写真にまつわるあれこれが、つづられています。

難しい技術的な話も、語りかけるような文章ですので、とてももわかりやすく理解できます。 

 

帯の糸井重里さんの惹句、

「なんども見たくなる写真。

人に欲しがられる写真。

飾っておきたくなる写真。

そういう写真を撮るために、

知っておいたほうがいいことがある」

 

きっと写真が好きになる一冊だと思います。

うちの子も写真好きになってほしいと思います。

 

9冊目:文明の生態史観 / 梅棹 忠夫

若い頃に、旅と言えば大げさですが海外を旅行した時に、世界の人は意外に日本に対して感心を持つ人が多いと感じました。

例えば日本人でも知る人ぞ知る地域のことや相撲のことなどを詳しく聞かれ、自分はそのことに対してうまく答えることができず、日本のことをあまりに知らないのがなんだかすごく恥ずかしいと思いました。

今書いた趣旨とはまったく違いますが、冒頭、梅棹忠夫さんも海外を旅行し日本に帰ってきた時、気候の違いを感じ、自分の国についてのあたらしい認識をあたえてくれるものなのだと、旅行の収穫を語っています。

この本は、主に梅棹さんがアフガニスタンパキスタン、インドなどいわゆる東と西にはさまれた国々を学術探検隊として旅行し、気づきを得たことをまとめた論考です。

現在でも西洋と東洋という風に類別した言い方をしますが、西洋から見た東の国々はすべて東洋、日本から見た西の国はすべて西洋か、ということはまったくなく、実は東洋でも西洋でもない地域に住む、梅棹さんいわく「中洋」という地域に住む数億の人々のことについての新しい視点を、50年以上も前に論じています。

世界と比較することによって日本のことを知り、世界の国々と日本との関係性も考える、そんな知的好奇心をものすごくくすぐります。

ダイバーシティ(多様性)が叫ばれる現代だからこそ、旅はそんな気づきをたくさん与えてくれると思います。

ぜひ、うちの子にも旅行をたくさんしてもらって、視野を広げてほしいと願います。

 

10冊目:旅をする木 / 星野 道夫

本がいつも教訓的なものでなければいけないということは全くないと思います。

ただそれを読んで、感じ入るものがあれば、もうそれだけで読む価値があるのではないでしょうか。

この本は、自分が紹介するまでもないほど名著として名高いですが、探検家でカメラマンの星野道夫さんが書いた『旅をする木』です。

まず、星野さんの文章の美しさと、人間力の大きさのようなものが強く感じることができます。

そして、もちろんアラスカという自然に想いを馳せてみるのも素敵だと思います。

この本を読んで、星野さんの行動力に本当に驚きました。

16歳で抑えきれない衝動からアメリカを2ヶ月も一人旅し、19歳の時は写真集のたった1枚の写真を見て、アラスカの場所も地名もわからないところへ手紙を送り、ホームステイをとりつけたり。

そして極め付けは、26歳でアラスカへ渡り、アラスカ大学を受験したものの、30点足りずに不合格。

それでも納得がいかず、学部長へ直談判し入学をとりつける、などなど。

ものすごい、バイタリティです。

その中でも、私的に一番心に残る部分が、

‘バスを一台乗り遅れることで、全く違う体験が待っているということ’という部分。

「十六歳の時」という一編で、多くの選択があったはずなのに、なぜAではなくBの道を歩いているのかと過去振り返った時の一節です。

著者がその時の想いや過去を振り返ったり、静かだけど心を動かされる味わい深い33編のエッセイが収められています。

行動する大事さを、ぜひうちの子にも感じとってほしいです。

 

11冊目:サピエンス全史 / ユヴァル・ノア・ハラリ

文明はどうやって起こり、人類はどのように生まれたか。

学生時代は正直まったく実感がわきませんでしたし、面白さがまったく感じられなかった記憶があります。

自分も大人になり、暗記から解放され、日本史や世界史にまつわる様々な面を掘り下げた本を趣味で読むようになると、これが本当に面白く読めるようになりました。

それはさておき、この「サピエンス全史」ですが、本当に知識欲を全開にくすぐられます。

この本の面白さは、人類と文明の道のりが多岐にわたって展開しているところです。

最初に前知識もなく読むまでは、古代の人類の謎でも書いた本なのかと思っていましたが、読み始めてそんなものではないことはすぐにわかります。

ホモ(人)属のサピエンス(賢い)という生き物、つまり今生きているすべての人間の歩みとこれからについて書かれた本で、世界史や人類史に止まらず、経済や考古学、宗教学や科学などさまざまな興味への入り口となるでしょう。

大きくわけて、第1部「認知革命」、第2部「農業革命」、第3部「人類の統一」、第4部「科学革命」と4部に分かれています。

本書の中でも随所で語られていますが、本当のところは諸説ありますし、真実はわからないことだらけです。

世界史の教科書に書かれていることが絶対正しいといいきれるわけでもありませんし、この本が正しいとも言い切れるわけでもありませんが、この本に書かれている内容には説得力がありますし、真実味も感じられます。

今後もいろいろな類書は出てくると思いますが、この本が読みやすさも含め、ひとつの考え方の基準になると思います。

 

12冊目:そうだったのか! 日本現代史 / 池上 彰

日本の歴史はおそらく学校でもしっかり勉強できると思いますが、現代史となると意外にないがしろにされたり、教わったとしてもかけ足だったり、大事なことには触れらなかったりしている場合も多いのではないでしょうか。

 そんなことを、わりとバイアスのかかっていない(ゼロではもちろんありませんが)フラットな視点で俯瞰できるのが、ご存知、池上 彰さんの著書『そうだったのか! 日本現代史』です。

 政治をはじめとして、経済、自衛隊や安保問題、日韓問題など、現在だけを見ていては見誤るようなことを、何が正しいという視点ではなく、できるだけ公平に書かれていて、何がどういう経緯をたどって、おこったのかを本当にわかりやすくまとめられています。

 知っていると思っていた事件やできごともそういった意味で、理解していなかったことがあるということに気づかされます。

ある意味、書かれていることが結論となる答えではなく、問題提起だったりします。

 もちろん、公害のような経済活動によってもたらされた問題、加害者側の企業や行政の無責任さなど、いたましいという気持ちでは片付けられない怒りや無念さのようなものもそこにはあります。

また、随所に高校時代に池上さんがその当時感じた感想のようなものも書かれています。

 これを読むと、様々なことの今にいたっている経緯が浮き彫りになり、いかに歴史は繰り返され、未来へのヒントとして現在何を考えなければいけないか考えさせれらます。

単行本化が2001年、文庫化が2008年と当然ですが、10年以上たっていますので、内容がその時までですが、リアルタイムを追っているわけではありませんので、それ以後のことは自分の実体験で補うことができると思います。

 他にも「そうだったのか!」シリーズで、(世界の)「現代史パート1/パート2」、「アメリカ」、「中国」、「朝鮮半島」とあり、どれも面白く読むことができます。

 個人的には、もっと早く読めば、もう少し現状の理解が進んだことだろうと思いました。

 

というわけで、うちの子にいつかこれらの本を勧めてみたいと思います。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

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