2019年最後の100分de名著『カラマーゾフの兄弟』のその後を描いた2作品

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はじめに

毎月1冊、4回に分けて名著が紹介されるNHKの番組「100分de名著」。

楽しみにされている方も多いと思いますが、私もその一人です。

2019年12月の名著はあのロシア文学最高傑作ともいえるドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』です。

学生時代に読んで、ものすごく面白かったのですが、記憶はうろ覚え。。

指南役は光文社古典新訳文庫版の訳者でもある名古屋外国大学学長でロシア文学者の亀山郁夫さんですので、おさらいをかねて、楽しみたいと思います。

 

さて、その『カラマーゾフの兄弟』は、ドストエフスキーの遺作となった作品ですが、実は第一部で、第二部があるということが作品冒頭で宣言されています。

その本作第一部がドストエフスキーが父に対するトラウマを描いた「父殺し」がテーマだとすれば、書かれるはずだった第二部はドストエフスキー自身が皇帝に投獄されたことによるトラウマを反映したテーマになるはずだったと予想されています(諸説あり)。

つまり未完のまま終わっているということなのですが、それにちなんで、書かれた作品をご紹介したいと思います。

面白いと感じるかどうかは評価が分かれるところですが、それに挑んだ意欲作であるということは間違いない2作品だと思います。

 

 

  

1冊目:新カラマーゾフの兄弟 / 亀山 郁夫

1冊目はその訳者本人の亀山郁夫さんが、書いた『新カラマーゾフの兄弟』です。

上・下巻2冊で、1400ページを超えるものすごいボリュームに、読み終えるには相当骨がおれます。

舞台を90年代の日本に移して、上巻は割と忠実にオリジナルのストーリーをなぞっています。

ロシア文学の私にとっての弱点は、名前が覚えきれず(同じ人物でも呼び名が色々あったりする)混乱するところがありますが、その点舞台が日本であるというところはわかりやすく、親しみを持って読むことができます。

その反面、設定が日本であるということで、オリジナルに比べ宗教観が希薄なため、新興宗教を登場させることによってストーリーを補っています。

またKという登場人物がいて、著者の半自伝的要素も物語の一部となっています。

黒木(カラマーゾフ)家の兄弟のミステリーとKが推理するドストエフスキー自身のミステリーの二つがパラレルに融合されているのが本書の魅力の一つかと思います。

 

2冊目:カラマーゾフの妹 / 高野 史緒

2冊目は、第58回(2012年)の江戸川乱歩賞を受賞した高野史緒さんの『カラマーゾフの妹』です。

カラマーゾフの兄弟』には第二部があるあずだったことは先に触れましたが、その二部を想定しながら、オリジナルで描かれた犯人に対して、事件から13年後、事件を再捜査し、驚きの真相が明らかになっていくというものです。

特別捜査官として再捜査をはじめた次男のイワンの記憶障害から、タイトルにもある通り、オリジナルにはいなかった妹らしき存在が浮かび上がってきます。

また第二部で書かれるはずであっただろう、投獄に対するトラウマになぞらえて、革命戦闘団による皇帝暗殺計画へとストーリーは展開していくのですが。

続編というよりは、設定を用いたパラレルSFミステリーというような趣を感じます。

 

 

最後に

まずは原作の「カラマーゾフの兄弟」を読んでから、忠実な部分と違う部分を楽しむことを強くおすすめします。

傑作のオマージュ作品なので抵抗感のある方は当然いらっしゃるかもしれませんが、これを読むことで、よりオリジナルの偉大さを実感することができると思います。

 

浅い知識ではございますが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

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