2019年 私的 洋楽年間ベスト・アルバムランキング10

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今年もあと残りわずかですね。

この時期の楽しみといえば、各音楽雑誌で特集される年間ベスト・アルバムランキング。

ロッキングオンのランキングを読みましたが、軒並みビッグネームや話題のニューカマーが並ぶものの、ビリー・アイリッシュトム・ヨークなどは私的にはあまりピンときませんでした。

あくまで私的に聴いたかぎりのものですが、2019年をランキング形式で振り返ってみたいと思います。

 

  

第1位:WHO / ザ・フー

 

正直、この年末に届けられた13年ぶりのニューアルバムを聴いて、今年すべてのアルバムが霞んでしまいました。

決して新しくはないけど、かと言って古いわけではなく、そのサウンドは紛れもなく全盛期のザ・フー以外の何物でもない素晴らしい作品でした。

もちろん、まだ聴きこめたというほど、日数はたっていませんが、そのサウンドと声に込められた圧倒的な熱量にただただ感動すら覚え、ロジャー・ダルトリー75歳、ピート・タウンゼント74歳とは到底思えません。

私的には「Who's Next」や「Quadrophenia」にも匹敵するほどの出来だと思います。

2人の脇を固めるは、まずはおなじみのキース・ムーンの愛弟子、ザック・スターキー

そうです、あのリンゴ・スターの息子が見事、キースのドラミングを再現しています。

ベースは、ネオソウル系から著名なロックアーティストまで引っ張りだこのピノ・パラディーノ。

そのほかにもキーボードにベンモント・テンチ、ドラムにカーラ・アザー、ジョーイ・ワロカー、そしてギターにピートの弟のサイモン・タウンゼントやゴードン・ギルトラップが参加しています。

アルバムジャケットはポール・ウェラーの『スタンリー・ロード』を彷彿とさせますが、それもそのはず、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』も手がけたピート・ブレイク本人によるもの。

まさに2019年最高のギフトといえる一枚だと思います。

 

第2位:U.F.O.F/ビッグ・シーフ

私的第2位は、今年立て続けに2枚のアルバムをリリースし、インディ・フォーク・シーンの話題をかっさらったバンド、ビッグ・シーフの3rdアルバムです。

4thアルバムも良かったですが、こちらの方がより、衝撃を受けました。

NYブルックリン出身の4人組バンドで、女性ヴォーカル、エイドリアン・レンカーとバック・ミンカーという二人のシンガーがフロントをつとめていますが、際立っているのはエイドリアンの歌声と存在感。

ペンタングルあたりの懐かしいフォーク・ロックな感じとエリオット・スミスを彷彿とさせるエモく叙情的な面、さらには爆発するような絶叫などもあり、一筋縄ではいかないサイケな感じがとても癖になります。

しばらく抜け出せない中毒性がありますね

今年最も聴いたアルバムです。

 

第3位:FATHER OF THE BRIDE/ヴァンパイア・ウィークエンド

続いては、今年の梅雨時から夏にかけてヘビロテだったのが、このアルバム。

00年代を代表するインディー・ロックバンド、ヴァンパイア・ウィークエンドの3rdアルバムから6年越しに届けられた4枚目のアルバムです。

エズラ・クーリグとともにソングライティングの主要メンバーだったロスタム・バトマングリの脱退やレコード会社の移籍などもあり紆余曲折あったようですが、アフロポップのサウンドが持ち味の彼ららしさは随所に残しつつも、よくも悪くもガチャガチャしていたサウンドは影をひそめ、カントリーフレイヴァーを加味したサウンドをメインにすえて、ものすごく聴きやすく、おだやかな感じに変貌しています。

今までにないバラエティ感があり、曲それぞれのクオリティも抜群で、何度聴いても飽きがきません。

「2021」では細野晴臣が80年代に無印良品の店内BGMとして作曲した楽曲「Talking」をサンプリングしているといったような話題にも事欠きません。

BGMとしても最適です。

 

第4位:HELP US STRANGER / ザ・ラカンターズ

一聴したときからヤラれたこのアルバム、一時は年間ベストかと思わせてくれました。

かけあいでリード・ボーカルとギターでフロントを務めるのは、言わずと知れたザ・ホワイト・ストライプスやザ・デッド・ウェザーのジャック・ホワイトとシンガー・ソングライターでメロディ・メーカーとして知られるブレンダン・ベンソン

この3rdアルバムはなんと11年ぶり。

オープニングのイントロから高揚感が感じられ、その予想をはるかに上回るかっこよさ。

ガレージロックを基調としつつ、ブルースロックからハードロック、フォーク、カントリーまで、すべてを飲み込んだバラエティに富んだ楽曲群。

過去のオールドロックの影響をもろに感じさせつつ、彼ら以外の何物でもない個性がしっかり確立されています。

誤解を恐れずに言えば、ストーンズをはじめ、ストゥージズやAC/DCを感じさせるロック全開な曲もあれば、5曲目の「Shine The Light On Me」では、まさにクイーンばりのコーラスワークを聴かせてくれますし、ラストの「Thoughts and Prayers」なんてツェッペリンを彷彿とさせる叙情的で雄大なイメージをかきたてられます。

その中でも「Somedays」はアコースティックな展開から徐々に盛り上がっていき、特にお気に入りの一曲。

ドノヴァンのカヴァー「Hey Gyp」以外は、全曲ジャック・ホワイトとブレンダン・ベンソンの共作で、練りに練られたアルバムとなっています。

 

第5位:EVERYDAY LIFE / コールドプレイ

ここ最近のアルバムは正直あまりピンとくるものがなかったのですが、今作は久しぶりに初期の頃を思い出させてくれるような面がありました。

彼らのドキュメンタリー『Coldplay: A Head Full Of Dreams』を最近観た影響も正直あり、私的に再評価しているところです。

「Sunset」と「Sunrise」の2つのパートに分かれたコンセプトアルバムとなっていて、ゴスペル調だったり、フォーキーだったり、感情を揺さぶる激しさもあり、楽曲の幅が今までにないぐらい起伏に富んだ広がりを感じます。

もちろんシングルにもなっている「Orphans」のようなポップな曲もあります。

本作のハイライトともいえるアフリカンな魅力あふれる「Arabesque」 ではアフロ・ビートの創始者フェラ・クティの息子であるフェミ・クティがホルンで参加しており、この一曲だけでも必聴といえると思います。

 

第6位:TO BELIEVE / ザ・シネマティック・オーケストラ

数年前から出る出るとアナウンスされていたもののなかなか出ずに待ち焦がれていたニューアルバムが、12年ぶりにリリースされた本作。

ジェイソン・スウィンスコー率いる英国のグループ、ザ・シネマティック・オーケストラですが、豪華なゲスト・ヴォーカルやミュージシャンを多数迎えて作られた楽曲は、今まで通りのイメージもあれば、新しいイメージも見られ、静と動、どちらかといえば動のイメージが強く感じられるアルバムです。

一曲目の「To Believe」は、まさにシネマティック・オーケストラらしい曲でイントロのアルペジオからまさに映画のワンシーンを思わせ、ジェイムズ・ブレイクの新作『Assume Form』にも参加している注目のシンガー、モーゼス・サムニーが歌う叙情的で、後半にかけてストリングスとともに盛り上がっていく感じは鳥肌もの。

ルーツ・マヌーヴァが歌うトリップホップな感じの「A Caged Bird/Imitations of Life 」、3曲目の「Lessons」はまるでROVOマイス・パレードあたりの曲を聴いているようなアップテンポで繊細ながら骨太なドラムのビートが心地いいインストナンバーと、曲ごとに違った表情を見せる。

ロンドンの女性シンガー、タウィアが歌うエモーショナルな「Wait for Now/Leave The World 」、エールあたりの曲を聴いているかのようなグレイ・レヴァレンドが歌うスペイシーな「Zero One/This Fantasy」、ソウルフルな歌声でハイディ・ヴォーゲルが感動的に歌い上げる「A Promise」も最後は激しい演奏で盛り上げて締めくくる。

曲数は少ないものの一曲一曲が長いため、物足りなさを感じることはまったくなく、バラエティに富んだ聴きごたえのある一枚。

 

第7位:THIS IS NOT A SAFE PLACE / ライド

2014年に再結成したライドの快進撃が止まりません。

90年代にマイ・ブラッディ・バレンタインと並んでシューゲイザーシーンを盛り上げていた彼ら。

2017年に21年ぶりにリリースした5作目に続いてリリースされた本作ですが、初期のシューゲイズサウンドをより進化させた楽曲はもちろんのこと、ダンスビートを取り入れた曲やグランジソニック・ユースを思わせるポストパンク的な曲など振れ幅があり、すべてが彼らの持ち味と思わせてくれるような出来。

ライド好きにはたまらない「Future Love」や「Jump Jet」あたりは彼らの新たなアンセムになるであろうテンションがあがるキラーチューンぶり。

 

第8位:SIGNS / テデスキ・トラックス・バンド

現在、ロック界で最強の夫婦といえば、このデレク・トラックスとスーザン・テデスキ夫妻ではないでしょうか。

テデスキ・トラックス・バンドはそんな夫婦が率いるホーンセクションもまじえた12人の大所帯ブルース・ロック・バンド。

ギタリストのデレク・トラックスは、新世代3大ロックギタリストのひとりと称され、スライド・ギターの天才として名高く、オールマン・ブラザーズ・バンドのオリジナル・メンバーであるブッチ・トラックスの甥としても知られています。

ブルースシンガーのスーザン・テデスキと結婚を機にお互いのバンドを合併、再編成して2010年にこのバンドを結成。

そして今年2月に、3年ぶりにリリースされた4枚目のアルバムがこの『SIGNS』です。

トム・ペティやウィルコなどの作品でプロデューサーを手がける名匠ジム・スコットを共同プロデューサーに迎えた本作ですが、一聴して感じられるのが、まさに大人による大人のためのロックといった感じで、テンションのあがるソウルフルな楽曲やロックチューンから、アコースティックなバラードまで、酸いも甘いも噛み分けたバラエティに富んだアルバムです。

 

第9位:DRIFTWOOD / ザ・ミスティーズ

この時代に、こんなバンドに出会える喜び。

90年代にスウェーデンパワーポップ・バンド 、トランポリンズのメインソングライターとして活躍したヨハン・ステントープの新プロジェクトがこのザ・ミスティーズです。

一聴して感じられるキャッチーでドリーミーなサウンド

ビートルズポール・マッカートニーラズベリーズ、トッド・ラングレンなどの影響がうかがえる、まさにビートルズの遺伝子。

パワー・ポップ・チューンの数々に胸が踊ります。

 

第10位:POWER TO THE POP / ヴァリアス・アーティスト 

そして、ラストを飾るのは、かなり反則ではありますが、11月末にリリースされた編集もの。

ビートルズの遺伝子”を持つ楽曲群を収録したコンピレーション・アルバムです。

今はなき音楽雑誌「ストレンジ・デイズ」の名物企画だった“ビートルズの遺伝子”。

その編集長、岩本晃市郎氏が監修をつとめ、30年の構想をへて完成させたというこの作品が悪いわけがありません。

2枚組全41曲というボリュームで、王道の曲から知る人ぞ知るパワーポップ系のアーティストの曲まで、ほとんどを単体では知っている曲も、こうやってまとまって聴くとまた違った魅力を放つから、コンピレーションはあなどれません。

ユートピアからはじまり、オアシスで終わる。

もちろんカヴァーでもコピーでもなく、レーベルの垣根を超えた奇跡ともいえるこのアルバムの選曲と流れ。

ビートルズ好きはこのコンピレーションは避けて通れないはず。

必聴です。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

ちなみにベスト10にもれましたが、最後まで悩んだアーティストは、ボン・イヴェール、レックス・オレンジ・カウンティ、オブ・モンスターズ・アンド・メン、ベック、ベル & セバスチャン、リアム・ギャラガーなどなど。

今年も豊作だったと思います。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

納得の作品もあれば、そう?という作品があるかもしれませんが、興味をもった作品はぜひ、チェックしてみてください。

 

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