直木賞の最右翼? 『熱源 / 川越 宗一』はこんな本

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熱源 / 川越 宗一

どんな本?

 

第9回「本屋が選ぶ時代小説大賞」受賞作にして、第162回直木賞(2019年下半期)ノミネート作品の本作。

 主な登場人物は、樺太(サハリン)で生まれたアイヌヤヨマネクフ(山辺安之助)ロシア皇帝暗殺を謀った罪でサハリンに流刑となったポーランド人で民俗学者ブロニスワフ・ピウスツキ、そしてソヴィエト連邦軍の伍長で女性狙撃兵のアレクサンドラ・クルニコワ。

アイヌの人々は自分たちの生活を送りたいだけなのに、疫病や戦争、さらには国によって自らの文明を脅かされ、窮地に立たされていく。

ポーランド人のブロニスワフ・ピウスツキは、そんなアイヌの人々に教育の必要性を訴え、教育の場を作ることに尽力する。

日本とロシアという2つの大国に翻弄されるこの3者を中心に、明治維新後から第二次世界大戦終戦まで樺太アイヌの壮大な戦いの物語を描いています。

 

この本の読みどころ

 

面白いのは、この小説に出てくるメインどころの人たちは実在の人物だというところ。

つまり史実を元にしたフィクションです。

まるで正義を振りかざすかのように、自分たちの価値観を押し付けてくる文明という名の理不尽。

自分の生まれた故郷が、勝手な国々の都合によって奪われていく理不尽。

日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランドアイデンティティとは何かを深く考えさせられます。

結局のところ、人種も国も超えて、摂理と戦っているのは人であるということ

小説のタイトルでもある『熱源』の「熱」の持つ意味が随所に深く胸に刺さります。

まあまあなボリュームの本作ですが、あまりにも出来事が多すぎて、さらにボリュームを増して読んでみたいと思うのは贅沢というものでしょうか。

 

その他の第162回直木賞(2019年下半期)ノミネート作品はこちら

大賞の発表は、2020年1月15日(水)午後4時!

発表が楽しみです。

 

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