ノンフィクションの傑作 『将棋の子 / 大崎 善生』はこんな本

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将棋の子 / 大崎 善生

どんな本?

 

第23回講談社ノンフィクション賞受賞作でもある本作。

著者は元日本将棋連盟将棋世界」の編集長を務め、その後、作家に転身した大崎善生さん

将棋のプロを目指すには、日本将棋連盟奨励会に入らなければなりません。

将棋の天才少年たちがしのぎを削る、いわばトラの穴ともいうべきところで、そこで四段に昇段しなければプロになることはできません

実力はもちろんのこと、そこに立ちはだかるのが年齢制限という壁

満21歳(2002年度以前の奨励会試験合格者においては満23歳)の誕生日までに初段満26歳の誕生日を迎える三段リーグ終了までに四段に昇段できなかったものは退会しなければなりません。

 

この本の主役は、プロ棋士ではありません

著者がそこで出会い、志なかばでもがき苦しみながら立ち去っていった、いわば名もなき若者たちの苦悩と葛藤を描いたノンフィクションの傑作です

 

この本の読みどころ

 

どの世界でもそうですが、街に一人は、どんだけすごいんだという天才と呼ばれるような人がいると思います。

そんな天才も、広い舞台にあがっていくと普通レベルになってしまい、上には上がいるというもの。

将棋の世界はその最たるもので、プロの棋士になれるのは、ほんの一握り。

そのプロの棋士になるための奨励会に入ること自体が選ばれた存在でもあるのです。

 

著者も奨励会を目指したものの断念した口で、その難しさは人一倍わかっています。

 彼らの中には、普通の高校生たちが送る楽しみを一切捨て、ただ将棋のことだけを考え、歳をとることさえ恐れているものがいます。

それは、自分のような凡人には計り知れない世界です。

 

そんな夢が叶わなかった若者たちにも、もちろんその後の人生があります。

身を崩すものもいれば、新たな道へ挑戦するもの。

そのすべての人に壮絶なドラマがあり、感情を揺さぶられます。

 

人生は面白いけど、大変、そう思っている自分の斜め上をいく世界がここにあります。

 

この本もおすすめです。

 この『将棋の子』は、作家としてデビューした2作目

 そして記念すべきデビュー作が映画化もされた『聖の青春』。

プロ棋士村山聖の一生を描いた、こちらも合わせて読みたい感動の傑作です。

 

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