ピラミッド最新科学で古代遺跡の謎を解く / 河江 肖剰
どんな本?
ピラミッドといえば、世の中の謎の中でもっともロマンが感じられるもののひとつではないでしょうか。
「どのように作ったのか」「なぜ作ったのか」「誰が作ったのか」は永遠の謎です。
その謎ゆえ、宇宙人が作ったのでは?なんていう説がまことしやかに語られますが、この本はそういう説をまっこうから否定しています。
そういう説も個人的には嫌いではありませんが
ドローンによる3D計測など最新の技術や調査結果をもとに、現在知り得る事実をまとめた内容となっています。
著者は、カイロ・アメリカン大学エジプト学科を卒業し、ピラミッド研究の第一人者レーナー博士のチームで10年以上にわたってギザの発掘調査に従事しています。
元々は『ピラミッド・タウンを発掘する』というタイトルで2015年に単行本化されていたものを文庫化にあたり改題したものです。
この本の読みどころ
この本を読めば、謎に包まれていたピラミッドというものを、ある程度、現実的なものとしてとらえることができます。
「誰が作ったのか」という点については、それはまぎれもなく人々の手によって作られたであろうということが読むとよくわかります。
原題となっていたピラミッド・タウンとは、ピラミッド建設に携わっていた人たちが古代に住んでいたとされている町。
ピラミッドの近くでその跡が発見されています。
発掘されたものなどから見えてくる人々の暮らしやどのような食生活をしていたかなどを知るにつれ、現代に通じる部分を感じ、かなり親近感が湧いてきます。
「どのように作ったのか」に関しては、もちろん断定はされていませんが、ピラミッドに残された痕跡などから、あくまでも当時に即した技術や道具で検証されています。
また、近年唱えられる世界中の斬新な仮説に対しても疑問点などが触れられているので、信ぴょう性が高まります。
「なぜ作ったのか」に関しては、それは王の墓であろうことは定説通りですが、並び立つ3つのピラミッドが初めから計画的に作られたかどうかに関しては否定的です。
知的好奇心がくすぶられ、読むとわくわくがとまらない一冊です。