ミステリーじゃない!伊坂さんが恋愛を描くとこうなる『アイネクライネナハトムジーク / 伊坂 幸太郎 』はこんな本!※簡単なまとめ。ネタバレなし

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アイネクライネナハトムジーク / 伊坂 幸太郎

 

どんな本?

 

この本の魅力を知るうえでまずは、この小説が書かれた背景を知るとより一層楽しめるのではないでしょうか。

 

きっかけは斉藤和義さんから「恋愛をテーマにしたアルバムを作るので、『出会い』にあたる曲の歌詞を書いてくれないか」と依頼を受けたのがはじまりだと言います。

それに対して、斉藤さんの大ファンだった伊坂さんは一緒に仕事ができるチャンスを逃したくない一心で「作詞はできないので小説を書くことならば」と作ったのが、この短編集の一つ目にあたる「アイネクライネ」でした。

伊坂さんはそれまで恋愛ものに分類されるものにはあまり興味がなかったということで、極力避けていたということです。

その理由として、「昔はフィクションで恋愛を扱うことにあまり興味がなかったんです。みんなが興味を持つ恋愛は、料理でいえば、肉みたいな存在だと思っていました。肉が入っていれば、その料理はうまいに決まってるよ、と。だったら、肉が入っていない美味しい料理を作る方がかっこいいと考えちゃって(笑)。いまは少し変わってきて、肉料理を作るにしても焼き加減や味付けとか、いろんな技術が必要なんだな、と思います」。と、エッセイで語っているそうです。

(ここまで、著者あとがきと吉田大助さんの解説からの引用を含みます)

 

そんな、伊坂さんが書く恋愛小説ですから、一筋縄ではいきません。

お得意の、登場人物が6編の短編で絶妙に絡み合い、最後にはすべての登場人物の関係をつなげてみせる見事な連作短編集です。

 

 

この本の読みどころ

 

伊坂さんの小説といえば、泥棒や強盗、殺し屋や超能力、恐ろしい犯人。

これらすべてが、この小説には出てきません。

 

それらなしでも伊坂さんは面白い小説を書けることを証明してみせたのが、本作です。

 

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、さらには元いじめっ子と再開してしまったOLなどさまざまな人間模様が一話ごとに描かれます。

ミステリーではなくても、各話で伏線のように張られた人間関係が、ラストの「ナハトムジーク」でその関連を解き明かすストーリーは見事としかいわざるをえません。

 

また、この短編から生まれた斉藤和義さんの『ベリーベリーストロング〜アイネクライネ〜』。

そのシングルの初回限定盤のための付録用として書き下ろされた2編目の「ライトヘビー」には、斉藤さんをイメージした、その名も「斉藤さん」という登場人物が出てくるのも読みどころのひとつです。

 

最後に読んだ方はご存知かと思いますが、この小説の中で理不尽に激昂する人をおとなしくさせる対処法が描かれています。

いつか試してみたいと思うのは私だけでしょうか。

 

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