常識を疑え、と教えてくれた。『流浪の月 /凪良 ゆう』はこんな本!

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流浪の月 / 凪良 ゆう

 

どんな本?

 

これほど評するのが難しいテーマも、なかなかないかもしれません。

なぜなら、この小説の題材は、世間では決して許されるものではないことばかりなので肯定もできない一方、主人公たちのような立場に立つとそれもやむなしと思ってしまう気持ちもあるからです。

 

それでは、簡単なあらすじです。

 

主人公は、世間的には変わっているといわれる両親に育てられた更紗

父は亡くなり、母は彼女をおいて家を出て行き、親戚の家で育てられる。

その家に馴染めないばかりか、ある理由で、もうその家には帰りたくないと思った更紗

そんな彼女を助けて家に泊めてくれたのが、19歳の文。

助けてくれたはずの文が、幼女誘拐事件の犯人として逮捕されてしまう。

 

その後の二人の人生とは。

 

 

この本の読みどころ

 

扱っている題材は、幼女誘拐事件やストーカー、DVなどどれも世間的に許されざるものばかり。

だいぶ気分が滅入る部分もありますので正直読者を選ぶ作品ではあると思いますが、これが本屋大賞にノミネートされているという事実が、この小説がどれだけ心を揺さぶられるものであるかの証だと思います。

 

 世間では肯定されるべきものではないことの中にも、頼るべき人がいないような場合には救いがあるのかもしれません。

反面、世の中には善意という名の悪も確かに存在していると思います。

 

事件の裏側は普段当然見えませんが、訳知り顔で語るワイドショーのコメンテーターや雑誌の記事など、世の中は憶測であふれています。

その憶測があたかも真実で、本人の気持ちを代弁するかのように語られることが多々ありますが、それら表面的な事実とは本当に真実と言えるのでしょうか。

自分もそんな人たちの気持ちがわかった気になってしまうことがありますが、それが大きな間違いであることを読んで思い知らされました。

 

真実は本人しかわかりません。

 

そういうことを強く考えさせるのが本書の本当のテーマではないでしょうか。

この小説は、自分の思い込みや常識を疑わなければいけないということを強く感じさせてくれました。 

 

 

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大賞の発表は、2020年4月7日(火)!

発表が楽しみです。

 

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