生きる意味を深く考えさせられます。『ハイパーハードボイルドグルメリポート / 上出 遼平』はこんな本!

f:id:bookrockcurry:20200518170820j:plain

  

ハイパーハードボイルドグルメリポート / 上出 遼平

  

どんな本?

こんな方におすすめ:バラエティ、旅、グルメ、ノンフィクション、ドキュメンタリーが好きな方へ

 

テレビ東京不定期に放送されている世界のヤバい飯を追った、地上波で流されていること自体が奇跡的な番組、それが『ハイパーハードボイルドグルメリポート』

その舞台裏がなんと書籍となって発売されています。

ご覧になっていない方は、過去の放送をAmazon プライム・ビデオでも視聴できます。

ご覧になった方はご存知かと思いますが、ある意味過激で、ある意味衝撃的な内容のその番組が、本書のまえがきで語られているのは、

番組で放送したのは僕が見たものの千分の一。

だからこの本では、その千まで書こうと思う。

 とあります。そして読み終わってその言葉に嘘がなかったと思います。

  • リベリア 人食い少年兵の廃墟飯
  • 台湾 マフィアの贅沢中華
  • ロシア シベリアン・イエスのカルト飯
  • ケニア ゴミ山スカベンジャー飯

4つのそれぞれ違ったヤバさをもつドキュメントが描かれていて、まさに命懸け、身体を張ったリポートが展開されています。

 

この本の読みどころ

驚かされるのディレクターである著者が現地に一人で行き、撮影から取材、グルメリポートまですべてをこなしているということ。(もちろん現地のコーディナーターは同行していますが)。

現地の人でも危険で近寄らないところに分け入っていく姿は、読んでいるだけで(番組を見ていたときももちろん感じていましたが)、ハラハラし、そして身体を心配してしまいます。

リベリアでは、元兵士たちにいつ襲われてもおかしくなかったり

台湾では、台湾でもよく知られたマフィアの親分を相手にしたり

ロシアでは、カルト教団で勧誘されそうになったり

ケニアでは、文字通りゴミの山で化学汚染に身体をやられたり

と、あまりに壮絶でテレビの枠を完全に超えていて、放送できなかった部分があることに納得してしまいます。

恐怖心がよりいっそうリアリティを帯びてズケズケと僕の中に入り込んできてしまう。ここは異国、ファンタジーの世界だ。そうとでも思わないと、味のしない飯を食らってすごすご帰ることになる。

 これはマフィアとの食事のシーンの一節ですが、常識の世界とは思えない感じが、臨場感をもって伝わってきます。

 

それでも、それらの人たちが正義か悪か、正しいか正しくないかは著者は決めつけません。

「私はカルトが間違っていると言うつもりもありません。なぜなら、他人の正しさを私が判断するべきではないからです。あなたの正しさを私は判断すべきでないし、私の正しさをあなたが判断すべきでもない。それは大事なことなのです」

 人の正しさをあなたが判断すべきではないーー。

 なんだか、予期せぬ角度から心理を打たれたような気がして、軽く目眩がした。

ロシアのカルト教団でのやりとりの一節ですが、まさに哲学の問いでもあるかのように、ある時は対象者に対して、ある時は自分自身に、このような問答が繰り返されています。

それは、テレビマンとしての自戒を込めている部分と、ジャーナリストとしてのプライドのようなものが揺れ動いていて考えさせられます。

 

とはいえ、この番組の趣旨はあくまでグルメリポート

どんな時でも、どんな場所でも食事にこだわります。

意外においしそうだなと思うものも、想像するだけでとても食べられそうにないものも逃げずにしっかり食べ、グルメリポーター顔負けのリポートぶりには脱帽です。

 

「さいごに」で語られるドキュメントとはいかなるものかに対する想いは、読み終えてずっしりと重く腹に響きます。

 

自分の常識を根底から揺すぶられ、まさに自分自身では決して体験することができない、ここではないどこかに連れていってくれます。

興味のある方はぜひ。

 

スポンサーリンク