奇想、天を動かす / 島田 荘司
どんな本?
こんな方におすすめ:ミステリーが好きな方へ
新本格ミステリーの祖、島田さんの「御手洗潔(みたらいきよし)シリーズ」と双璧をなす「吉敷竹史(よしきたけし)シリーズ」。
その中でも特に人気の高いのが、ちょうど昭和から平成に切り替わった年に刊行された傑作『奇想、天を動かす』です。
伊坂幸太郎さんが『KAWADE夢ムック 総力特集伊坂幸太郎』の中で、島田さんの著作のベスト5に選んだうちの一作。
タイトルの名の通り、まさに奇想ともいえるトリックを堪能できます。
“浅草で浮浪者風の老人が、消費税12円を請求されたことに腹を立て、店の主婦をナイフで刺殺した。だが老人は氏名すら名乗らず完全黙秘を続けている。
この裏には何かがある!? 警視庁捜査一課の吉敷竹史は、懸命な捜査の結果、ついに過去数十年に及ぶ巨大な犯罪の構図を突き止めた! ――壮大なトリックを駆使し、本格推理と社会派推理とを見事に融合させた傑作!”
(文庫裏表紙より)
この本の読みどころ
冒頭、いきなり、昭和32年の北海道を走る列車の中でピエロの格好をした人が踊り回り、その後、密室のトイレの中でピストル自殺を遂げます。その死体を発見した車掌が、一度扉を閉め、30秒ほど後にまた開けたら、その死体が消えていた。(ちなみにディティールはもう少しありますが)
こんな感じで物語が始まります。
正直、この始まりを読んで、そんなことあるわけないじゃん、どうやって?といきなり思考を停止させられてしまいました。
そして、その他にも次々とファンタジーかよと、思うような謎の連続。
でもそれらにはもちろん、多少、強引ながらも、ちゃんと論理的な解決があります。
この小説がすごいのは、ただの本格ものというだけではありません。
社会派の側面も兼ね備えていて、複雑な問題が絡み合っています。
ミステリー小説なので、これ以上詳しいことは書きませんが、まったく関係ないと思われていた現在と過去の事件が徐々につながっていき。。。
興味のある方はぜひ。