クスノキの番人 / 東野 圭吾
どんな本?
人殺しの話ばかり
書いていると、
時折ふと、
人を生かす話を
書きたくなるのです
このコメントは本書に寄せた著者のコメントです。
東野さんといえば、ミステリーというイメージですが、作風は幅広くSF風やスピリチュアル色の強いファンタジー風なものも数多くあります。
そんなファンタジー色の強い作品の系譜として、『秘密』や『時生』、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』などがありますが、本作もその流れを組む作品となっています。
作家生活35周年を迎えた著者ですが、また新たな代表作が誕生したのではないでしょうか。
この本の読みどころ
本書の秘密として言えるのは、その木に祈れば、願いが叶うと言われているということのみ。
ひょんなことからそのクスノキの番人をつとめることになった主人公ですが、実は彼自身も本書の半分以上すぎてもその秘密の謎を知ることができません。
主人公が謎を知りたくてうずうずしているのと同様、読んでいるこちら側も当然、その謎を知りたいがためにその先が気になってしまいます。
つまり、この作品は殺人事件はおこらないものの、その木の「願いが叶う」というその実態そのものがどんなものであるのか、というある種のミステリーともいえると思います。
ファンタジー色の強いこの一連のものにつきものは、やはり「感動」です。
この小説もご多分にもれず、しっかりラストは感動が待っています。
ちなみに、この本のすごいところは、あらすじがわかるスペシャルPVが作成されていること。
しかも、映画さながらでキャストにも実力派が顔をのぞかせていますので、ぜひオフィシャルサイトをのぞいてみては。