村上春樹さんの自伝風“世にも奇妙な物語”的短編集『一人称単数 / 村上 春樹』はこんな本!

f:id:bookrockcurry:20200807153807j:plain

  

一人称単数 / 村上 春樹

  

どんな本?

短編小説集としては、『女のいない男たち』以来6年ぶりの新作。

文藝春秋の文芸誌文學界に2018年〜2020年までに掲載された短編に、書き下ろしの表題作を加えた本作ですが、世界観が統一されていて、これが相当読みやすく、面白い。

これは、自伝的エッセイですと言われれば、すんなりそう読めてしまう、なんとも不思議だけど、ちょっと変わった短編集です。

 

この本の読みどころ

 「一人称単数」とタイトルにある通り、物語のベースは、村上さん自身の話と思われる、過去をさかのぼった様々な出来事が描かれています。

ちょっと生々しい青春時代の恋愛や性の話、ご自身がファンであるヤクルトスワローズの話、そしてなんといってもジャズやクラシック、さらにはビートルズを題材にした音楽の話など、どの話も途中までは自身の記憶を回想しているかのようだったのに、途中から、あれ、これはどこからフィクションなの?という風に幻想的な世界に迷い込んでしまったかのような展開となります。

この感じ、何かに似ていると思ったら、そう、テレビドラマの世にも奇妙な物語のあの不思議な感じに似ているのです。

まさに日常から突然非日常へといざなわれるような不思議な読後感。

さらに、どの話も死がつきまとっていて、村上さん自身が晩年を感じつつあるのかなと思われ、ちょっと心配してしまいます。

 

それにしても作家とは、そのままではないにしても自身の経験をアイディアとしてさらけ出し、切り売らざるをえない、なんとも因果な商売だと感じてしまうのは私だけでしょうか。

 

村上春樹さんの小説は小難しいのではと思っている方には、入門編としておすすめかも。 

 

表紙も今までにないようなポップな感じが所有欲をそそります。

 

スポンサーリンク