彼らを書く / 片岡 義男
どんな本?
タイトルの「彼ら」とは、ロックを語るうえで避けては通れない「ザ・ビートルズ」、「ボブ・ディラン」、「エルヴィス・プレスリー」のこと。
この本は、ロックや映画にも造詣の深い、作家の片岡義男さんが各々のアーティストに関連したドキュメンタリーやライブ、映画、計31本のDVDに関しての書き下ろしエッセイです。
取り上げられているDVD作品は、
いまからザ・ビートルズをDVDで観る。
- The first U.S. Visit
- The Four Complete Historic Ed Sullivan Shows Featuring The Beatles
- The Beatles At The Shea Stadium
- The Beatles Era 60's(?:本の中でにタイトルの掲載なし)
- That'll Be The Day
- Backbeat
- I Wanna Hold Your Hand
- Nowhere Boy
- ビートルズと私 Beatles Stories
- 愛しのフリーダ Good Ol' Freda
今度はボブ・ディランをDVDで観る。
- The Other Side Of The Mirror
- No Direction Home
- Don't Look Back
- Dylan Speaks
- Bob Dylan 1966-1978 After The Crash
- Bob Dylan 1966-1978 After The Crashの付録DVD(ワイト島フェステイヴァルの模様)
- Bob Dylan And The Band 69-70
- Pat Gallet and Billy The Kid
- The Last Waltz
- ボブ・ディラン 30周年記念コンサート
- Bob Dylan MTV Unplugged
- Masked And Anonymous
- I'm Not There
そしてエルヴィス・プレスリーをDVDで観る。
- やさしく愛して Love Me Tender
- さまよう青春 Loving You
- 監獄ロック Jailhouse Rock
- 闇に響く声 King Creole
- Heartbreak Hotel
- ザ・シンガー Elvis
- Finding Graceland
- El Ultimo Elvis
の計31本です。
こんな本!
ビートルズに関しては、まだライブを行っていた頃の初期のものや彼らにまつわる映画やドキュメンタリーなど。
ボブ・ディランに関しては、初期から中期ごろまでライブを中心に、映画も少々。
エルヴィス・プレスリーに関しては、彼の出演作や彼を題材とした映画について。
軽妙で独特な語り口は健在で、まさにこんな切り口があったのかという、ウンチク満載。通り一遍のエッセイとはわけが違います。
正直、私は紹介されているDVDに関して、数本しか観たことがありませんし、3アーティストの中でもエルヴィスはそれほど知らないのですが、モウレツに観てみたいと思わせてくれるところが、やっぱりこの本の面白いところだと思います。
このサブスク時代にあえてDVDで観る、なんて気負ったことはきっとまったく考えていないと思いますが、DVDというフィジカルのよさがこういう面白いエッセイを生んだといえます。
まさにサブスク時代へのアンチテーゼともいえるナイスな本だ、と私は思います。